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2019.4.26(Fri)
press release 引用元:工学系研究科プレスリリース
https://www.t.u-tokyo.ac.jp/foe/press/setnws_201904251057246383830380.html
窒素は生体分子、薬、化学工業製品などさまざまな化合物に含まれる重要な元素の一つである。大気中に存在する窒素ガスは極めて反応性が乏しく、直接これらの化合物の窒素源として利用することができない。そのため窒素ガスを窒素源として利用するためには、まずアンモニアなど利用が容易な含窒素分子に変換する必要がある。 現在、アンモニアはハーバー・ボッシュ法と呼ばれる手法により、窒素ガスと水素ガスから工業的に合成されている。しかし、高温・高圧の過酷な反応条件に加え、原料となる水素ガスが石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料由来であり、水素ガスの製造には多大なエネルギーを消費することから、持続可能な社会を構築する上で大きな障害となっている。そのため、水素ガスに代えて水などの豊富に存在する水素源を用いて、温和な反応条件下でアンモニアを合成する次世代型のアンモニア合成方法の開発が望まれている。 今回、東京大学大学院工学系研究科の西林仁昭教授らの研究グループは、常温・常圧の温和な反応条件下で窒素ガスと水からアンモニアを合成する世界初の反応の開発に成功した。本反応は、モリブデン触媒を用い、窒素ガスおよびプロトン(H+)源として水、還元剤としてヨウ化サマリウムを用いることで、常温・常圧の反応条件下で世界最高の触媒活性を達成した。本研究成果は現行のハーバー・ボッシュ法を将来代替する次世代型のアンモニア合成反応開発の指針になる重要な知見である。 本研究成果は、2019年4月24日の「Nature(ネイチャー)」(オンライン速報版)で公開されました。
Nature:
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1134-2
日本経済新聞社:
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP507794_W9A410C1000000/