専攻長からのメッセージ

次代のために一緒に挑戦しよう

 

 高度に複雑化・グローバル化している現代社会においては,地球環境問題,資源・エネルギー・食糧問題,高齢化社会,グローバル金融危機など様々な問題が顕在化しています.現代社会が抱えるこれらの問題は相互に関連し複雑に絡み合っているので,構成する個別要素を解析・研究する従来型の工学的アプローチだけでは解決することはできません.対象を俯瞰的視点から捉えるシステム思考が不可欠なのです.
 システム創成学とは、様々な個別要素が統合されたシステムを対象とする学問,あるいは革新的な統合システムを創りあげることを目指す新しい学問体系といえます.私たちのシステム創成学専攻では,人間‐自然‐人工物をとりまく現代社会が直面する様々な問題を解決するために,システム思考的アプローチにより工学知を統合し,人工物ネットワーク,グローバル循環システム,社会経済システム,先端知デザインを4つの重点分野として,革新的なシステムを創出するための原理と方法論に関する教育と研究を展開しています.また工学系研究科に設置されているエネルギー・資源フロンティアセンター,レジリエンス工学研究センターという2つの組織とも密に連携して,非常に幅広い最先端の研究を行っています.
 俯瞰的視点とシステム思考に基づいて戦略的に意思決定ができる能力,個別要素的な専門分野についても深く分析できる能力,さらに俯瞰的視点から先端的要素技術の開発ができる能力を養い,革新的なシステムを創成できる人材,すなわちシステム創成学の専門家として世界で活躍できる人材の育成を目指しています.
 未曽有の被害をもたらした東日本大震災から4年が経ちました.原発事故をはじめ,経済の再興問題や近隣諸国との緊張関係など多くの難問が噴出しています.これらの喫緊の課題を解決することは,東京大学で研究する者としての責務であると私は考えています.今こそあなた方の出番です.システム創成学という新しい学問が,これらの問題を解決する糸口を必ず与えてくれるはずです.山積する難問に対して臆することも逃げることなく,真正面から向き合いましょう.やる気に満ち溢れた皆さんが私たちの専攻に加わることを大いに歓迎します.一緒に挑戦しましょう.

 

2015年4月
東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻
専攻長 加藤泰浩

システム創成学専攻の教育理念

システム創成学専攻の教育目的

 システム創成学専攻では、俯瞰的視点とシステム思考に基づき戦略的に意思決定を行う能力、特定専門分野におけるアナリシス能力を備え、俯瞰的視点から先端的要素技術の開発ができる人材、革新的なシステムの創出ができる人材の養成を教育目的とします。

 

o812581 修士課程においては、特定工学分野の基礎が確立できているとともに、システム科学の概念と方法論について十分に理解し、社会の各分野でシステム創成学の専門家として活躍できる人材の養成を主眼とします。
 博士課程においては、さらに現実世界の中から自ら課題を発見し、その解決に向けてプロジェクトを企画立案し、そのプロジェクトのメンバーとして自己の専門知識と技能を有機的に活用して解決する能力を有するシステム創成学の高度専門家を養成するとともに、その一連のプロセスを科学的に分析し普遍化することのできる研究者を養成します。

 

システム創成学専攻において期待される卒業生像

 卒業生の進路としては、ハード、ソフト、サービスを問わず産業界において新製品・新規事業の企画立案や、設計、生産、運用、管理の計画、実施に責任を有する指導的技術者・管理者、公共政策等の社会システムのデザインや決定、実施に責任を有する行政スペシャリスト、システム創成学や学際的学術分野の研究者等が想定されます。

 

システム創成学専攻のコアコンピタンス

(1)問題の本質を領域横断的、俯瞰的、かつ体系的に捉えるシステム思考能力。
(2)複雑な現実問題を数理的、実証的アプローチが適用できる形にモデル化して解決する能力。
(3)工学の特定専門分野において専門家として認知されるに十分な知識と技能。
(4)自己を磨きつつ社会の中で人と関わりながら活躍できる人間力。

システム創成学専攻の専攻理念

システム創成学専攻のミッション

新たな教育・研究を展開するシステム創成学専攻

 システム創成学専攻では、人間、人工物、自然をとりまく様々な現代的課題に立ち向かえる人材を輩出するために、ものごとを多面的、俯瞰的視点から捉えるシステム科学を基礎として、専門領域に細分化された従来の工学知を統合し、自然や社会と調和のとれた革新的なシステムの実現のための原理と方法論に関する教育・研究を展開していきます。

 

新たな価値を創造するシステム創成学専攻

 急速にグローバル化し、加速的に複雑化している現代社会において噴出する様々な課題を解決するためには、ものごとを多面的、俯瞰的視点から捉えるシステム思考が重要となってきています。
 すなわち、対象を構成する基本要素を抽出、分析するといった旧来型の工学的貢献ではなく、要素間の関係性や相互作用を考慮しながら総合化し、個別の専門領域で培われた知識や技術を統合することによって、環境問題や安全安心社会の実現等、現代社会が直面する課題に対して具体的なソリューションを提供し、新しい価値の創出や革新的にシステムをイノベーションすることが新たに工学に求められているのです。
 例えば、自然と社会、技術との調和を実現するためには、工業製品等の人工物ばかりでなく、ヒューマンウェア、マネジメント、サービス、社会制度等といった人工物を取り巻く環境への関与も必要となってきます。さらに、個別の人工物の設計製造を追求するだけでなく、それらの人工物が社会に与える影響や合理的な実装方法を考慮する重要性も日々増しています。また、個別の製品価値だけでなくそれらを取り巻く社会や環境の仕組みを全体的に再設計することで、他の追随を許さない総合的な価値を創出する可能性も期待されます。

 

新たな分野を開拓するシステム創成学専攻

 工学が社会の期待に応え活躍の場をますます拡大していくために,システム創成学専攻は、工学知の統合、システム思考をベースに自然システム、人工物、社会システムの機能的融合を目指す工学の新分野を開拓していきます。