グローバル循環システム
自然現象や経済活動など、様々な事象の将来予測には不確かさが伴います(100%当たる天気予報はないですし、明日の日経平均株価を寸分の狂いもなく言い当てられる人はいません)。ただし、事象によっては「将来がどの程度不確かであるか」を近似的に評価することはできます。互いに独立な将来シナリオをランダムに幾つも発生させてその統計量を見る、所謂モンテカルロ法と呼ばれる方法です。汎用的である一方、収束の遅さが実用上問題になることがあります。これを改善するための手段として準モンテカルロ法(QMC: Quasi-Monte Carlo)に着目し、その理論から応用まで広く研究を進めています。QMCではモンテカルロ法が依拠するランダム性を排除し、決定的なアプローチによって高次収束を達成します。
不確実性を評価するという行為は、それ自体が目的なのではなく、意思決定の合理化やシステムの最適化といった目的を達成するための手段に過ぎません。同様に、何か追加情報を得たり観測を行うことによって不確実性を減らすという行為も、それ自体が目的なのではありません。意思決定や最適化といった目的に対して、不確実性を減らすことがどれほどインパクトを与えるのかを知ることによって、適切な情報収集や観測のあり方を特定できます。不確実性を低減することの価値の定量化、計算アルゴリズムの開発から実際的な問題への応用まで広く研究を行っています。