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社会経済システム
複雑なシステムが崩壊してしまうことなく存続できるのは何故で,またどんなときか、というのは様々な分野に関連のある基本的な問題です。私はこれまで、生態系などの現実の系に共通する「多様な要素が複雑な構造で相互作用しつつ共存し進化する」という特徴に注目した理論研究から全く新しい系の頑健性の決定機構を発見してきました。この理論の枠組みをさらに発展させ、土壌微生物生態系、生体内反応系、遺伝子ネットワーク、経済系、IoT、社会のコミュニティ、…などの実際の系への応用を目指しています。
物理系における非平衡現象研究の経験を生かし、生物や人間の群れ(自己駆動粒子系)の集団運動、集団での追跡・逃走、金融市場間の競争、間接的互恵性に基づく協力と対立の構造の出現などより幅広い系や現象についてシミュレーションと理論解析による研究を進めています。
生物・社会・経済系の研究を「物理学」としていく大事な支えとして、大規模で客観的なデータと普遍性に注目したデータ科学にも取り組んでいます。過去約20年の米国株式市場の状態遷移の解析に代表されるデータ解析に加え、ハエの脳細胞分布の定量分析のために自動解析アルゴリズムの開発を行なったりもしてきました。